2009年7月8日水曜日

「The Big Issue」を買った……これこそ人道問題の直接的で一番効果的な解決方法

曙橋の地下鉄の前で「The Big Issue」を売っているホームレスの人がいた。さっそく買いました。このシステムには、心底共感する。

この雑誌(The Big Issue)とはホームレスの人たちの自立を助けるための「企業組織」であり、月に二回真面目な内容の雑誌を発行し、ホームレスの人たちを通じて販売している。販売価格は一部300円。そのうち160円が雑誌を販売するホームレス個人に手数料として支払われる。一日30部でも売れればちゃんと自分が稼いだお金で最低限の生活が出来るのだ。雑誌には広告なんかなく、内容もしっかりしている。印刷もいい仕上がり。これはお買い得だし、何よりも自分が払ったお金の行き先をちゃんと自分で把握できるところがいい。エライNPOなんかに寄付しても冷房が効いた事務所経費や終身雇用的人件費に消えてしまうお金がほとんどであることを考えれば、抜群に効率のいい人道支援のやり方である。ホームレスの人たちも物乞いや説教臭いことを聞かされる代償としてお金を貰うのではなく自分でちゃんとお金を稼いだという満足感を感じることが出来る。

国際協力の在り方も、基本的にはこういった考え方をもっと取り入れるべきである。現在のやり方はあまりに官僚的で「慈善的」。協力組織のエライ人たちに仕事を与えること(メシの種を提供すること)に偏りすぎてはいないか。古来から、貧しい地域を豊かにして富の平準化をもたらすものは「商業」であった。アフガニスタンの貧しい人たちもインドとか中国とかのグローバル交易が実現できれば一挙に豊かになる。タリバンもお呼びじゃなくなるのだ。

こういう民間ベースの交易が実現できない理由はなにか。商売を取り巻くリスクがあまりにも高すぎるからである。その意味で国際的規模の「貿易保険」制度の充実が、何にも増して最貧国の所得水準のかさ上げと国際平和に貢献する。あまりにも当たり前の事実であるが、同時にあまりにも無視されてきた現実である。今夜の「クローズアップ現代」は、とても立派なゲストを呼んでの国際協力問題がテーマであったが、国際協力を組織的・官僚的な仕事として捉え、自己満足の手段としていては、なにも前に進まないのである。

閑話休題。The Big Issue に浜矩子が寄稿していた。彼女は怖そうなので好きじゃないのだが、こういう雑誌に(ほとんど報酬なしで)寄稿しているとは知らなかった。見直した。

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